床暖房 モニターレポート
退職後の暮らしを見据えて考えられた丸岡様邸の工事プラン。
灯油式の床暖房パネルの撤去と新しいパネルの敷設、室外ユニットの設置など、
工事はまだ雪が残る時期に進められましたが、なんとわずか1日半で全ての作業が完了しました。
灯油からの熱源転換で定年後の暮らしも経済的で快適にしたい。
こだわり
丸岡様邸で現在床暖房設備が入っているのは、約10畳のリビングと、お父様が三味線を教えるのに使っておられる音楽室。
新たな床暖房の導入も、この2部屋をご希望です。
現地調査で第一にポイントとなったのは、4年ほど前から使われていない灯油ストーブ連動型の床暖房パネルや温水配管といった床暖房設備がそのまま使えるかどうか。
まずは調査に訪れたダイキン空調東北の一関氏が、それら設備の状態をチェックします。
既設のストーブ連動式温水床暖房の
熱源となっていた油ストーブ
その結果、これまで使われていた床暖房パネル内の温水配管には、銅が使用されていることがわかりました。
温水配管がダイキン床暖房で推奨している架橋ポリエチレン管であれば既存設備の活用も考えられたのですが、温水床暖房の効率的な断熱性の点から「現在の設備を撤去して、新たな床暖房パネルを設置する方法をおすすめしたい」
という提案がありました。
リビングに敷設されていた金属製の床暖房パネル
既存の床暖房パネルを撤去して新たな床暖房パネルを設置する場合に行われる工事の流れについては、一関氏から次のような説明がありました。
1. 既存の床暖房パネルの撤去これまで設置されていた床暖房設備は、床材などが敷かれておらず、金属製の床暖房パネルをはめ込み、その上に直接カーペットを敷いて使用するというもの。
カーペットをめくると金属製の床暖房パネルが露出しているため、取り外しも簡単。
床をはがすなどの大がかりな工事は必要ありません。
2. 新たな床暖房パネルの設置
既存の床暖房パネルを撤去したあとには、床暖房パネルのなかった部分と高さをそろえるためにベニヤの合板を追加し、その上に新たな床暖房パネルを設置します。
工事を行うリビング部分と、行わないダイニングキッチン部分に段差ができるのでは?と気になりますが、その点は床材一体型床暖房パネル「はるびより」を選択することで解決。
床暖房パネル自体が1.2cmと薄型のため、カーペットを撤去する分の余裕もあり、ほとんど段差はできません。
音楽室については、部屋半分を占めるグランドピアノの移動が難しく、半分のみの施工となるため、1.2cm分の段差ができますが、境界部分は斜めの見切り材で処理します。
当初既存の床暖房設備の再利用をご希望だったご主人も既存の設備流用が難しい理由や具体的な工事プランについての説明を聞いて納得。 「わかりやすく納得の行く説明をしていただいたので、提案に対し前向きな気持ちになれました」とご理解くださいました。
工事もそれほど大がかりにならないことがわかり、丸岡様邸の工事の方針は決まりました。
アンペア変更の工事により取り付けられた分電盤
今まで50アンペアで電力契約をされていた丸岡様ですが、床暖房を設置し、他の電化製品を同時に使用したときに備えて契約アンペアを見直す必要性が。契約アンペアが使用する電気器具(※)の電力より低いとアンペアブレーカーが切れてしまいます。そこで床暖房工事の前に、電力会社に依頼して、50アンペアから70アンペアへ将来的な余裕も持たせた変更の工事を行っておくことになりました。
※ご契約のアンペアはご家庭により異なります。
アンペア変更の工事も済み、準備万端で迎えた工事の日。
まずはリビングから作業は始まりました。
既設の床暖房パネルを撤去するにあたり、注意が必要なのはパイプ内に残った不凍液の処理です。
完全になくなったわけではないため、温水配管を切断する際には、不凍液をバケツに受けながら作業が進められました。
銅製温水配管の断作業
室内では、リビングにあったテレビやソファなどの家具を隣接する和室等に移動。
音楽室でも、壁面に作りつけられたお父様手作りの三味線収納ラックが取り外され、他の部屋へ移動されました。
その上でカーペットを取り除き、部屋の中央部に設置された金属製床暖房パネルを撤去。パネルを取り外したあとを新しい合板で補い、全体を平らに整えていきます。
リビングの金属製床暖房パネルの取り外し作業
新しい合板の敷設作業
同時に屋外では、室外ユニットの設置が進められました。
室外ユニットのタイプは、4系統の温水配管を接続できる大型のもの。
今回はリビングで2系統、音楽室で1系統を接続するため、
3系統のタイプでもよいのですが、将来、増設することも考えての選択です。
設置場所はリビングの西側にある出窓の下あたり。
積雪を避けるため、高さ50センチほどの架台を設置し、
その上に室外ユニットを固定していきます。
積雪に備えて設置された外ユニット
室外ユニットの準備が整ったら、リビング側から床暖房パネルの敷設が始まります。
床暖房パネルは床材一体型の「はるびより」。
敷き詰められた合板に、温水配管を床下に落とすための穴を開け、そこに温水配管を通しながら同時に床暖房パネルを敷設していきます。
リビングには、2枚1組の床暖房パネルを6組敷設。
西側にあるテレビを見るときには西側半分だけ暖める、といったことができるように、東側と西側でゾーンを分けました。
室内で床暖房パネルが敷き詰められると同時に、床下では、床暖房パネルから伸びた温水配管と、それを室外ユニットにつなげる温水配管を接続。
岡様邸は、家を設計したお父様の考えで、床下が120cmと余裕あるつくりになっていたため、作業は非常にスムーズに進みました。接続作業の最後に、床下から外に出した温水配管を室外ユニットにつなぎ込み。寒冷地向けの専用不凍液を詰めれば温水配管作業も終了です。
2日目は、音楽室の床暖房パネル設置工事です。
施工範囲はグランドピアノの置かれた部分を除いた、部屋の南側半分。
その分設置面積が狭く、床暖房パネルも2組だけとあって、なんと午前中のみで作業は終わってしまいました。
ピアノ側と新しい床暖房パネルとの境目を、見切り材で段差が気にならないように処理すれば、室内の作業も終了です。
巾木の取り付け
音楽室の設置作業
新しい床暖房パネルが敷設された音楽室
(左側ピアノの下のエリアは既設のカーペット敷)
新しく設置された床暖房パネル(右側)と
既設のカーペット敷(左側)の間は見切り材で処理
こうして、2日目の午後には早くも試運転へ。
温水配管からの水漏れなどがないことを確認して、無事すべての作業が完了となりました。
リモコンの操作等については、一関氏が実際に操作しながらゾーンごとの運転方法やタイマーの使い方を解説。
また、いくつか寒冷地ならではのレクチャーもありました。
たとえば不凍液については、「1ヵ月以内に追加するようサインが出た場合は、完全に入っていない可能性があるので不凍液の追加を。
それ以降のサインは水分の蒸発なので水だけ足していただければ結構です」との説明が。
長期で留守にする場合についても、「凍結防止のため電源を切らないようにするか、もし電源を切る場合には水抜きを」とのアドバイス。温水配管内の凍結の恐れについてはかねてご主人も気にしていらっしゃった点で、しっかり耳を傾けておられました。
リモコン操作について耳を傾ける丸岡様ご夫妻
カーペット敷きのリビングで過ごしてきた丸岡様ご一家にとって、フローリングなのに足元が暖かいというのは不思議な感覚。スリッパをはいてリビングに入り、「あ、違う違う」とスリッパを脱ぐご主人の姿はとてもうれしそうです。
寒さがきらいな奥様も、「やっぱり床暖房はいいわ」とホッとされたご様子。
まだまだ暖房シーズンは終わらない秋田だけに、新しい床暖房もさっそく大活躍してくれそう。
また、ヒートポンプ導入はご主人の悲願だっただけに、経済性やエコ貢献度でどんな効果が出るか、使ってみての手ごたえが楽しみです。
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