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ハウジング・マルチエアコン

ケース3 / トキワ桜之荘

第3回 エアコン設置工事
設置の自由度が高いアメニティビルトイン形で、現場の難問も解決!

施主:兒玉様邸(大阪府)

柱、梁、天井、壁面等の補強の段階でエアコン、ダクト等の設置工事を済ませる。

現場で細部を詰めて行く和泉屋氏と「ie工房」豊原氏(左)

着々と進む、兒玉様邸のリノベーション工事(右)

兒玉様邸の古家再生の施工担当は、和泉屋勘兵衛氏らとともに「民家計画」に参画する豊原伸一氏率いる「ie工房」。和泉屋氏と組んで何件ものリノベーション施工の実績があり、息もピッタリ。"阿吽の呼吸"で工事を進めていきます。

築50年という家の骨格に、最新の工法をプラスし、心地よいだけでなく、地震などにも強い家への再生を目指します。

今回はアメニティビルトイン形エアコンを使用するため、比較的工事の早い段階での設置となりました。その模様をご紹介していきましょう。

■兒玉様邸のエアコン設置プラン

アメニティビルトイン形全ダクト設置タイプ

自由度が高いからこそ、置き場所は慎重に。設計段階で詰め切れない部分を現場で調整。

通常のエアコンとは異なり、ダクトを通して吹出グリルで冷暖房を行う全ダクト設置タイプの場合、極論すれば室内機は、配線とダクト接続ができればどこにでも置けます。しかし、実際はそう簡単な問題ではありません。「ダクトが長すぎると、冷暖房効率がどうしても下がりますし、空気の流れを考えると、ダクトをいろいろ曲げすぎるもの良くない」と豊原氏はダクトを引きまわしながら、エアコン施工担当者と協議を重ねます。

和泉屋氏は「吹出用のダクトが3本、吸込用のダクトが1本、合計4本の太いダクトを、どう上手くレイアウトしていくか、これは設計図を描いている段階では、なかなか詰められないですね。通常のエアコンは、設置場所が決まれば否応なくそこに置くことを前提にして考えるしかないですが、全ダクト設置タイプは自由度が高いだけ、現場での調整が必要なんです」と、天井を見上げながら指示を出します。

大まかな場所は決まっていたものの、微調整を繰り返し、最終的に玄関ホール天井の上に、梁から吊り下げ設置することにしました。このようにして、エアコンのダクトはもちろん、換気用のダクト、照明用の電灯線など他の機器の配線も、決して広くはない天井裏にピッタリと納まったのです。

天井裏にダクトを仮置きしながら、位置を慎重に調整。左の太いダクトがエアコンの吸込用。細い方は換気扇用。

場所を検討している間に、室内機には部品が取り付けられ、設置のための準備が着々と進められていきます。

設置場所が決定。梁から吊り下げられようとする室内機。

吊り下げ設置が終わり、微調整を行う施工担当者。

アメニティビルトイン形 全ダクト設置タイプ

全ダクト設置タイプの自由度が、現場の課題を克服し、設計者の思いを実現。

アメニティビルトイン形全ダクト設置タイプを設置した場合、室内機よりひと回り大きな点検口が必要となります。万が一の故障の場合、天井裏の室内機を入れ換える必要があるからです。この点検口は通常、室内機直下に置かれることが多いのですが、兒玉様邸の場合ちょうど玄関ホールの天井になり、それに対し和泉屋氏が難色を示されたのです。「家に入ってすぐの目につく場所だからね・・・」(和泉屋氏)

また、点検口だけでなく、吸込口の設置場所にも気を配らねばなりません。

家としてのデザイン性、見栄えを選ぶか、エアコンのメンテナンスも含め機能性を選ぶか。和泉屋氏、豊原氏、エアコン施工担当者が意見を交わします。数十分の協議の結果、(1)室内機直下には45cm角の目立たない点検口を設け、通常のメンテ、調整などはここから行うこと。(2)玄関の隣の洗面所の天井に点検パネルを設け、仮に室内機交換など大きな修理が必要な際は、ここから天井を通って行うこと・・・と決まり、全員が納得。

デザイン、設計、施工、電設、それぞれの思いを満たす形での決着は、自由度の高いアメニティビルトイン形全ダクト設置タイプだからこそ。この結果には、施工関係者全員、特に和泉屋氏が「デザイン側の思いも実現できました」と、ご満足の表情でした。

和泉屋氏、豊原氏ら関係者が意見を交わしながら、全員が納得できる解決策を見つけ出していきます。

吸込口のグリルを天井にかざしながら、どこに点検口を設けるかを検討。

点検口の場所も決まり、ダクトも含め本格的に設置。一つひとつのダクトが、慎重に取りつけられていきます。

接続完了。4本の太いダクトが、見事に納まりました。写真左下は吸込口。

アメニティビルトイン形フリービルトイン設置タイプ

「エアコンを隠したい」という強いこだわりが洗濯機の上の空きスペースを発見させた。

兒玉様邸には、もう1台、アメニティビルトイン形エアコンが設置されます。寝室のフリービルトイン設置タイプです。和泉屋氏は「最初から言っていますが、エアコンは隠せるなら隠したい(笑)。そのためには全ダクト設置タイプが理想的なんですが、費用の面が課題となり全ダクト設置タイプ以外で、解答を探す必要がありました」

そんな和泉屋氏が設計図に向かっている時、ふと気付いたのが、寝室と接する洗面所にある、洗濯機の設置スペース(間取り図参照)。「洗濯機の上が、室内機の設置場所として使えるんじゃないか?」とひらめいた和泉屋氏は、エアコンの寸法図などを確認の上、半間幅のフリービルトイン設置タイプを選択しました。「特にエアコンのためにスペースを設けずに済み、もちろんエアコンの存在も隠せるので万々歳です」(和泉屋氏)

これが可能になったのも、ダイキンのアメニティビルトイン形フリービルトイン設置タイプが、コンパクトサイズで、しかも設置スペースや住まいの構造に合わせて7つの設置パターンから選べるという柔軟性を持つため。

「設計者にとってフレキシブルに対応できるのが、ダイキンさんのエアコンの魅力ですね。これからも採用していきたいです」と和泉屋氏は、非常にご満足の様子でした。

寝室側から見たエアコン設置場所。ちょうど施工担当者が細部を調整中。その下には、洗濯機が置かれる予定。

フリービルトイン設置タイプの室内機を仮置きし、配線、配管、ドレン配管等の位置を確認。

ドレン配管は、洗面所と寝室(押入れ)の間の壁の中を通り外へ。壁が作られるまでに、配管を通しておきます。

写真中央は、外壁に開けられた穴から屋外に出された、ドレン配管。