今回のrisoraオーナーインタビューは、京都の中心部に新たに誕生する、新しい宿泊施設。シンプルなインテリアの中に京都らしさも垣間見える空間は、どのようにつくられたのか?オーナーの佐々木啓益さんにお話を伺いました。
宿泊も周辺散策も楽しみながら、“暮らす”ように滞在を
▲2棟はそれぞれ2階建てで、1階はリビング、2階は寝室になっている。1階の奥にはキッチンも備わっている。
京都市東山区粟田口。京都ホテルオークラのレストランのひとつである数寄屋造りの粟田山荘や青蓮院門跡などの近く、閑静な場所にひっそりと佇む宿泊施設「粟田口 三条坊山荘」が今回の舞台です。
「もともとは自分の別荘を建てることを検討していました。しかし場所がとてもよかったので、経営する会社の社員の保養所にもなったらいいなと考えるようになりました。さらに、家族や社員たちが使っていない時は、他の方にもお泊まりいただけるようにしたらいいのではないかと思い、計画しました」
と話すのは、大阪で食品加工機械を製造・販売する会社を経営する佐々木啓益さん。
これからオープンを予定している「粟田口 三条坊山荘」は、“1棟貸し”を基本とした、まるで暮らすように京都滞在を楽しめる場所。祇園まで歩いて15分ほどで行けるような京都中心部にありながら、中に入るととても静かで、2階の窓からは平安神宮の鳥居を望むこともできます。夏には全国的に有名な季節の風物詩、五山の送り火の大文字も見ることができるそう。
▲2階の1室から見える京都の街並み。平安神宮の赤い大鳥居も見えている。
「近くに、東山トレイルという登山道があるんです。京都市内を一望できる東山の頂上、将軍塚までおおよそ20分~30分でハイキングすることもできるので、ご宿泊いただいたお客様には東山の豊かな自然の中でウォーキングを楽しんでいただけると思います。
京都国立近代美術館も近いので芸術も堪能できますし、青蓮院の立派なお庭もすぐ近くですので、観光名所近くの喧騒から離れて、ゆったりと滞在していただけたら嬉しいです」
繁華街に近いため、食事は京都市街の飲食店で美味しい料理を楽しんでほしいからと、施設での食事提供はなし。その代わり部屋にはキッチンが備わっているため、自分たちで簡単な料理をしたり、シェフを呼ぶことも可能。長期滞在にもぴったりの快適な宿泊スタイルを提供しています。
和洋折衷のインテリアと、ゆったりくつろげる間取り
▲「粟田口 三条坊山荘」外観。左側の日本家屋調の棟と、右側の蔵づくり調の棟の2棟建て。
「粟田口 三条坊山荘」の名前のとおり、外観は山荘のイメージ。2棟ある建物は、ひとつが日本家屋風、もうひとつは蔵づくり風となっており、外から見ると完全に和風の建築物です。
「隣に京都ホテルオークラのレストラン『粟田山荘』があるんです。並んだときに違和感のないように、同じようなイメージで、山荘風の建物にしました。ただ、中は近代的で洋風な要素のあるホテルになっています。一歩中に足を踏み入れると新鮮な驚きがある、という部分を演出したかったんです」
内部は、吹き抜け空間のある2階建て。1階はリビングやキッチン、バス・トイレなどがあり、2階は畳敷きのくつろぎスペースとなっています。
インテリアのベースとなっている壁や建具は、白で統一し、明るいイメージをつくりだしています。さらに細部を見てみると、和と洋の要素をうまく融合させているのが特徴。
たとえば白い壁は漆喰塗りで、伝統的な和の家づくりの要素ですが、上を見上げれば、ヨーロッパから輸入したというシャンデリアが輝いています。
▲日本家屋調の建物の1階。開放的な窓からこだわりの庭を望むことができる
1階のリビングの奥には、ドイツのミーレ製のキッチンが存在感を放っています。
「当初はキッチン台の側面を漆塗りのような赤い色にと考えていたのですが、コスト面から見直すことになり、最終的にミーレを選びました。2部屋は赤色、2部屋は金色です。キッチン横の棚には、漆塗りを思わせるシートを貼っています。キッチンカウンターの上についているランプはイタリアのルミナベッラのものです。自宅でも使っていてとても気に入っているので、この山荘でも同じものを選びました」
▲キッチンカウンター上のペンダントランプは、ルミナベッラの「メッサリーナ」
浴室も、壁はデザインタイルで洋風の要素がある一方で、天井は木材を使用するなど、どこか和も感じさせるしつらえとなっています。バスタブはヨーロッパブランドのものやヒノキ風呂など、4部屋すべて異なります。
▲全室共通の浴室のタイルは、まるで星空のようなデザイン。窓からは庭を望むこともでき、開放的で明るい空間
“見えない方がいい”と考えていたエアコンも、risoraなら堂々と
▲日本家屋調の棟の2階の1室。畳や木材の棚とともに、risoraの「チーク」もインテリアの一員としてなじんでいる
シンプルなインテリアの中で、ちょうどよいアクセントとなっているのがエアコンです。佐々木さんが2棟の4室全てにセレクトしたのが、risora custom styleの「チーク」。優しい木目調のパネルで、白を基調としたインテリアに溶け込んでいます。
「そもそもは、空調設備については“見えない”のが一番いいと思っていたのです。だから、最初は天井カセットタイプのものも検討していましたし、壁付けタイプのエアコンでも、壁の中にうまく隠すということを考えていました。
そんなときにショールームでrisoraに出会い、木目調のパネルを見たとき、思い描いていたインテリアに合うなと思って選びました。サイズも小さく、部屋の中で圧迫感がないことも決め手でした」
各部屋の2階にある畳敷きの小上がりにも、板張りの洋室にも寄り添う木目調のデザインは、隠すのではなく、あえて“見せる”インテリアとして機能する存在となりました。
白木の床板には、オーナーのこだわりが。
「床は松材を使っています。できるだけ広い幅のものを、あえて選んでいます。京都のお寺などでは、これくらいの広い幅の床板がよく使われています。そこからインスピレーションを得て、リンクさせるようなイメージでここにも使うことにしました」
▲全室で統一されている床には、一般的なフローリング材より幅広い板が使われている
シンプルで凛とした空間ですが、どこか懐かしさも感じられるのは、床材や棚、そしてエアコンでも、木目や漆といった天然素材のイメージを活かしているからなのでしょう。
まるで隠れ家のようにひっそり佇みながら、モダンで快適に京都滞在を楽しめるお部屋。和×洋のデザインを上品に融合させたインテリアで、存分にくつろげること間違いなしです。
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