今回ご紹介するrisoraオーナーは、愛知県名古屋市にお住まいのYさんご夫妻。購入したマンションの最上階からの眺めを活かすべく、テラスまでつながったフラットなリビングダイニングにリノベーション。そのこだわりは、壁の作り方、キッチン天板の継ぎ目の見え方、エアコンの配管まで及んだといいます。Yさんと二人三脚でリノベーションを進めたEIGHT DESIGN(エイトデザイン)の武田慎太良さんにもお話を伺いました。

夫婦のライフスタイルに合わせた間取りと、広々使えるバルコニー

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▲LDKは仕切りのない大空間。中央奥に見えている寝室のみ、独立した個室になっている。

「新築マンションでは自分の好みのデザインがなく、中古マンションを購入しリノベーションしようと思い至ったんです」
現在の住まいに住み始めたきっかけをそう語ってくれたYさん。奥様と二人暮らしだという1LDKの部屋はシンプルながらも、自然素材の風合いやくつろぎスペースが活かされたバランスの良い空間になっています。

ご夫妻のインテリアの好みは、シンプルで緊張感のある空間。そのために極力無駄な線や凹凸、装飾を省きたいと思っていたそう。また物件の決め手となったのが、公園に面した部屋であるということ。マンション最上階である10階からの眺めがよく、リビングとバルコニーが一体化した空間を作りたいと、“テラスリビング”というコンセプトを設定し、リノベーション会社に依頼しました。

こうした要望を受けてEIGHT DESIGNの武田さんが提案したのは、「緊張と安心の間」のデザイン。

「空間の中にある線や凸凹を可能な限り減らすことで、シンプルで洗練された印象にするご提案をしました。照明や家具などは、重心が低いものや、線の細い家具を選ぶことなどをご提案して、空間に緊張感を持たせるようにしています」(武田さん)

リビングの入り口のドアを開けると正面に見えるのが、マンション最上階からの眺めが自慢の窓。2対の窓がある壁はまるで景色を切り取るフレームのように、凹凸のないすっきりした壁になっています。

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▲くつろぎスペースの高さや幅は、窓に合わせて設計。

「窓側の壁は、エアコンの配管を埋め込むために、ふかして(壁の仕上げ面を前面に出すこと)あるんです。エアコンを取り付ける部分だけでなく、その面の壁を全体的に前面に出しているので、窓が少し奥まって見えます。ご夫婦のご希望で作ったワークデスク付きのくつろぎスペースも、その窓の線に合わせて作りました」(武田さん)

くつろぎスペースは白壁の中に埋め込まれるように作られ、座面やデスク天板、天井部分に木材を使い、安らぎを与えるしつらえになっています。

Yさんの一番のお気に入りスペースは、夕焼けと公園をのんびり眺められるバルコニー。

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▲バルコニーにも木材を敷き、窓を開ければリビングの延長のように使うことができる。

リビングと高さを揃えて木材を敷き、まるで“もうひとつの部屋”のように使うことができます。
バルコニーを広々と使うため、武田さんからの提案で、エアコンの室外機をマルチタイプに。リビングのエアコンと寝室のエアコンを1台の室外機につなぎ、バルコニーの隅に給湯器と一緒にまとめたことで、すっきりとしたテラスを実現しました。

まさにYさんが掲げたコンセプト“テラスリビング”を体現する空間となっています。

空間のノイズとなる段差や線を徹底的になくして、シンプルに

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▲南側の壁に、くつろぎスペースとキッチンを収めた。床はナチュラルなナラ材を選んでいる。

Yさん宅の「空間の中にある余計な線や凹凸をなくす」というリノベーションの方針は、窓だけでなく天井や梁、キッチンスペース、建具にもひとつひとつ当てはめて設計されていきました。

「キッチンは、くつろぎスペースと同じように、窓枠の線で区切られるスペースの中に収めるように作っています。そのサイズに合わせて造作したオリジナルキッチンです。キッチン天板は1枚板として作れる大きさに限界があるため継いでいるのですが、“どこの線で継ぐか”という細かいところにもこだわりました」(武田さん)

天井を見上げてみると、ソファのあるリビング部分天井には、シーリングライトがついていないことがわかります。日中は窓から入る光で十分明るく、日が落ちると壁際に仕込んだ間接照明が天井を照らすように設計されているそう。

Yさん宅で唯一の個室となっている寝室も、扉を閉めていれば、その奥に部屋があるとはわかりません。

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▲寝室の入り口の扉は床から天井まであり、“動く壁”のよう。右奥に見えているリビング入り口の扉も、極力段差をなくすように造作したもの。

家具や照明は、雑誌『KINFOLK』やPinterestを参考にしながら、リノベーション後の空間に合わせて購入。
リビングに置かれたソファはフランネルソファのシエスタシリーズのもので、背もたれが低く、エッジの立っているフォルムが選んだ決め手でした。ダイニングテーブルは、モールテックス天板とアイアンの脚のクールさに惹かれて購入したもの。

「妻は装飾的なインテリアが好きで、シンプルにしたい僕とは意見が異なることもありました。一部、ランプシェードなどを妻に選んでもらうなどしてバランスをとっています」とYさん。

今後は、テレワークで自宅滞在時間が増えたことを受けて、リラックスの助けになる家具や家電を揃えていきたいと考えているそうです。

エアコンの配管問題をリノベーションで解決
risoraなら空間がきれいにまとまる

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▲無駄な線のないシンプルな空間に寄り添うrisora。隠蔽配管により周辺もすっきり。

住まいづくりにおいて、極力無駄な凸凹や線をなくしたいという希望をもつYさんにとって、長年不満に思っていたことのひとつがエアコンの配管でした。

「室内機から出る配管は、カバーをしていてもホコリが溜まりやすく、不格好なのが問題だと感じていました。今回はリノベーションの際に配管を壁内に隠すことができたので、この問題が解消されています」とYさんは言います。

Yさんがrisoraを知ったのは、EIGHT DESIGNさんからの提案がきっかけ。Yさんのこだわりを聞いていた武田さんが、リノベーション後の空間に合うのではと勧めてくれたものだそう。

パネルカラーは、壁に合わせて白系を選択。「ウェブサイト上で最初に選んだものが少し光沢のあるパネルだったので、より空間に馴染むマットなものにしたくて、パネルのみ追加注文して付け直しています」とYさん。

デザインや機能については概ね満足しており、「スリムな本体デザインを優先するなら、フィルターの自動掃除機能はなくてもいいと思っています。むしろフィルターの掃除をしたくなるような気持ちをユーザーに持たせられるような存在になるといいですね。機能を減らしてでも、リモコンがもっと小さく、質感にこだわったものになればいいなと思います」と期待を寄せてくれました。

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▲リビングのエアコンの位置は設計の初期段階で決定。寝室のエアコンや給湯器などとの配管接続も一緒に計画することですっきりした空間を実現。

一方、設計を担当した武田さんも、住まいづくりにおけるエアコンの扱いにおいて、長年感じてきたことがあったと言います。

「エアコンは空調機器なので、設置できる場所がある程度決まってしまうものです。空間を邪魔しないように目立たないところに設置したり、ルーバーをつけてエアコン本体を隠したりといったケースも多くありました。でもrisoraならそうする必要がありません。“見えていても美しいもの”の需要は高いように思います」

エアコンを目立たせたくないと考える人の中には、天井埋め込みカセット式のエアコンが選択肢のひとつとなる場合もありますが、武田さんによると、「必ずしも空間がすっきりするとは限らない」と言います。

「天井カセット式のエアコンは、照明の設置との兼ね合いも難しく、結果的にシンプルですっきりとした空間にならない場合もあります。risoraのように空間に馴染むものであれば、壁付けタイプのエアコンを選択する方が、理想の空間を作れるのではないでしょうか」

「こうしたい」という強い思いを持つ住まい手と、プロ目線で具体的なプランに落とし込むリノベーション会社との二人三脚でつくりあげた空間には、参考になるヒントがたくさん詰まっています。

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EIGHT DESIGN エイトデザイン
東京と名古屋でリノベーションを手がける一級建築士事務所。住宅から店舗、オフィス、まちづくりに至るまで、幅広く展開している。
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