省エネへの関心が高まり、住宅の高気密高断熱化が進んでいます。その結果、以前では考えられないような、低冷暖房負荷で生活ができるようになってきました。
一方、高気密化の弊害として発生しているのがシックハウス問題。室内の化学物質が居住者に悪影響を与えることもあるようです。そのため、建築基準法が改正され、すべての建築物に原則として常時換気が義務付けられました。
しかし、換気扇で排気する第3種換気だと、各部屋に設置されている給気口から、夏は高温の湿った空気が入り込んで、内部結露を起こす懸念があります。冬は低温の乾いた空気が浸入し、住宅内が乾燥する恐れがあります。しかも、外気がそのまま流入するので、断熱・気密性能を高めていても、冷暖房負荷が大きくなってしまいます。
また、湿度が高い夏の日に冷房設定温度を上げると「我慢の節電」になってしまうため、適度な除湿が必要です。逆に冬は、過乾燥による肌のトラブルや住宅の木材のソリなどを防止するためにも、適切な加湿が不可欠です。
これらの問題・課題を解決するために、家全体を快適な湿度(年間を通じて屋内の相対湿度を40%~60%)に保ちながら換気を行い、住まいと人の健康を省エネルギーな方法で実現するために、全館調湿・換気システムの開発に着手しました。
地域や工法によって住宅性能は異なります。とくに気密性能が異なると、自然換気量が変化し、屋内の湿度を快適に制御するために必要な機器の能力も変わります。そのため、目標とする加湿量、除湿量を最初に決める必要がありました。
まず、商品化の3年前から、全国4カ所で実際の住宅にプロト機を設置し、湿度コントロールの検証と省エネ性の検証を行いました。
また東北・北海道などの寒冷地でも実用に耐えられるよう、使用する外気温度範囲をマイナス20℃まで引き下げました。24時間運転にしていても、なるべくムダがないよう、不在時は最低限の能力に絞って運転し、帰宅すればすぐに省エネで立ち上がる「おでかけモード」も搭載しています。
施工面でも、建築基準法で定める換気量の設定が簡単にできる「風量一定制御」を搭載しました。機器の形態を床置形に決定したのは、お客様自身でフィルター交換がしやすいカタチを追求した結果。設置場所としては、廊下に隣接する物置がもっとも適しているため、製品のサイズを住宅の半間モジュールに収まるように設計開発しました。
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