特別な設備導入を伴わない普及型ZEBを実現するため、空調負荷や電気容量の最適化によるコストの削減を図り、施設の高断熱化(複層ガラス等)や高効率設備(高効率空調・LED照明等)の導入を行った。これらの取組により国立大学初のZEB Ready研究棟として第三者認証を取得している。
所在地 | 大阪府吹田市 | 延べ面積 | 3,389㎡ |
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階数 | 地上4階 | 用途 | 学校等 |
構造 | 鉄骨造 | 改修年月 | 2022年1月 |
設計 | 株式会社プランテック https://plantec.co.jp/ | ||
平面計画 | 本施設は実験室、講義室が中心であるため、 各階、温熱環境に配慮し、 熱負荷の高い南側には居室を配置せず。 |
大阪大学は多数の多様な研究施設を持ち、活動時間も長いため、一般的な事務所ビルなどと比較しても床面積当たり消費エネルギーが多く、大量のエネルギーを消費しています。
そのため大阪大学では、以前から積極的にキャンパスの省エネ化に努めてきました。
具体的な取組としては、2010年度から2019年度にかけては光熱水費の削減で必要経費を賄う大規模施設改修事業の推進(取組や成果が評価され2016年に省エネ大賞を受賞)や、老朽化した設備機器の更新、実験施設の省エネ啓発活動などを実施し、3箇所のキャンパス全体の一次エネルギー消費原単位を約31%削減することに成功しています。
2019年までの取組からさらに積極的な推進を行うため、まず学内の既存の空調・換気、照明設備を調査し、その改修効果を試算しました。 省エネ効果を具体的な数字として“見える化”したところ、学内でもZEBに対する理解が深まり、キャンパス内建築物のZEB化への流れが出来ました。
ZEB化は特別なことではなく、汎用的な設備機器の導入でも達成可能です。
今回ZEB化した「薬学4号館」は試算の結果、省エネ効率の高い機器に変更するだけでZEB Readyが達成可能だったため比較的導入しやすい新築の建物という事もあり、普及型ZEBとしてのZEB化を狙いました。
エネルギー消費の大半を占める空調・換気・照明の各設備に関して、空調負荷や電気容量の最適化によるコストの削減を図った上で、省エネ性の高い機種を導入し、エネルギー削減をおこないました。
室外機には使用状況に応じて台数制御を行うモデルをコストの抑制とエネルギー利用の総合的・効率的実施を狙い、採用しています。
さらに室内機は消費電力の少ない小型室内カセット形を必要な箇所に最適配置し、換気機器の全熱交換器は、在室人数の増減にあわせた換気風量制御を行う、CO₂センサを採用しました。
その他工夫として、施設の高断熱化(複層ガラス等)をおこなうのは勿論のこと、4層吹き抜け空間には開閉式トップライトを採用。 熱だまり対策・自然採光による省エネ及び排煙設備を兼ねています。
「薬学4号館」は研究施設としては国立大学初のZEB Ready棟として第三者認証を取得しました。
今回のZEB化をモデルケースとして中期目標を達成する為の基本方針においても「新築、増築、改修もしくは大規模の改修をしようとする建築物に対しては、エネルギー使用量及び温室効果ガス排出量の削減のための配慮を企画・設計・施工段階から組み込み、ZEB Readyを達成するように配慮することを原則とする」と他大学に先駆けて明記する事となりました。
今後整備される研究棟についても随時ZEB化を実施していく予定です。
国立大学法人 大阪大学
鈴木智博 准教授
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カーボンニュートラルの実現に向けて、既存設備の調査・更新やエネルギーマネジメント、そしてZEB化などの取組が必要になっていくと考えています。
ただ、ひとりひとりの日々の習慣と意識も重要です。
省エネ意識を高めて、身近な取り組みを徹底すればZEB化につながりますし、その先のカーボンニュートラルも達成できます。
「千里の道も一歩から。」
数字だけで見れば難しそうな削減目標も、積み重ねることで達成が見えてきます。大阪大学は今後も挑戦を続けてまいります。