「risora custom style」は、室内機のパネルの色・質感を自分好みに選べるエアコンとして、2019年4月に発売を開始。現在25色と10の質感で、計35種をラインナップしています。
この1年の販売動向や近年のトレンドを踏まえて、「risora custom style」をより魅力的にするべく、2020年1月末、インテリアコーディネーターの網村眞弓さんと一緒に、パネルの色・質感のバリエーションを見直しました。
▲ 中央の網村さんと、左からダイキンの関矢、野口(ともに商品企画担当)、長治、吉川(ともにデザイン担当)
日本でも“カスタマイズ” “自分らしさ”が当たり前に
ダイキン野口(以下、野口):最初に、近年の住まい方のトレンドを教えてください。
網村さん(以下、網村):日本人って性格的に、白くてきっちりしているもの、決まった無駄がないものが好きだと思います。そして、人が作ったキレイなものに慣れていて、施工精度に細かい。けれど近年、SNSなどで海外の個性的な部屋を見る機会も増え、自分らしい好みの部屋にカスタマイズしてみたいと思う方が増えてきていると感じます。メーカーが用意したものをそのまま使うのではなく、ちょっと“自分らしく”カスタマイズしたいと思う。海外では新しい家に住む時、カーテンのように壁紙も替えて、自分のインテリアにしていく方が多く見られます。まるで自分のねぐらを整える感じですよね。お気に入りの壁紙を家具に貼ってみる、そのひと手間が楽しい。そしてその家具が家にあるだけで楽しい。ただの家具ではなくなりますよね。
ダイキン吉川(以下、吉川):確かに、どうやって自分好みのモノや空間にしていくかを考えている時って、とてもワクワクしますよね。
ダイキン関矢(以下、関矢):先日、risora custom styleをお選びいただいた方のご自宅にお邪魔したのですが、「risoraそのものがいいというよりも、risoraの色を決めて、壁紙の色を決めて、じゃあインテリアはどうしようと選ぶ、そのプロセスが楽しかった」とおっしゃっていました。「エアコンが白だったら、この壁紙は選ばなかった」とも。カスタマイズがトレンドになってきた今、もっとたくさんの方にrisoraを楽しんで選んでいただきたいですね。
野口:risora custom style発売当初は、「住宅で使いたい」というニーズが大半でした。けれど最近になって、エステサロンやホテルなど、商業施設で採用されることも増えてきたので、ますます楽しみです。
人気カラーはグレイッシュ系
現在販売している35種の色・質感の中で、特に人気があったのはグレイッシュ系のカラーでした。一方でグリーン、ブルーはやや苦戦気味。
野口:グレイッシュの反響が大きかった理由はなんでしょうね?
吉川:エアコンはその空間に長く存在するもの。グレイッシュは主張しすぎず、それでいて質感や雰囲気が感じられるカラーなので、老若男女問わず好まれたのかもしれないです。
関矢:以前、インテリアコーディネーターの方に、アクセントカラーとしてグレー系やブルー系は挑戦しやすいと教えていただきました。けれど今回統計を見ると、ブルーってあまり販売台数上位には来ていない…ブルーは難しいんでしょうか?
網村:ブルーはトレンドカラーなので人気ですよ。ただ、今回のラインナップはちょっとインパクトが強すぎたのかも。マリンブルーみたいなやわらかなブルーがあると、初めてご自身でエアコンを購入されるような若い方に選ばれるかもしれないですね。そして物体色なので、グレイッシュな色は好まれやすいと思います。でも全体を見ると、嬉しくなる、会話が弾むようなパキっとした色もよく選ばれているので、元気な色の中にくすみカラーを入れるといいかもしれません。
デジタル社会だからこそ求められる質感
どんなにデジタル化が進んでも、ヒトの感性は変わりません。現代人は、反デジタル的なもの、たとえば柄や凸凹など、五感に訴える質感を求めていると網村さんは言います。
網村:たとえばタッチパネルは、いくら鮮明な質感を映しても触感はありませんよね。そんなデジタル社会だからこそ、見た目と触感が一致するデザインは重要ですし、自然な質感によって感覚的な落ち着きも得られると思います。
ダイキン長治(以下、長治):次のrisoraでも、“あたたかい”や“ふわっとしている”といった自然な感覚を楽しめるものは残したいと思っていて。今の網村さんのお話は、すごく共感できました。
吉川:実はrisoraは、パネルと本体との間に敢えて隙間をつくることで軽やかさを出したり、パネルの質感をより感じられるようにしたりと、工夫を重ねたデザインです。ぜひ自然な質感を楽しんでいただきたいですね。
トレンドも取り入れた色・質感選び
ここからが本題。「risora custom style」の新色・デザインを決めていきます。
網村:今の35種は、全体的にブルー系とグリーン系が多いですね。もっと絞り込んであげたほうが、お客さまは選びやすいかもしれません。代わりにパープル系はどうですか? 海外では今、ピンクの色みがパープルに寄ってきていて、子ども部屋で使われることも増えてきました。
その言葉を聞いて、一斉に色見本帳をめくってピンクとパープルの中間色を探します。
野口:今の25色を選ぶ時、色見本帳を見ていいなぁと思った色を何度も見比べたりしたんです。ですが小さな色見本帳で見ていると、だんだん色の違いが分からなくなってしまいました…。
網村:エアコンのパネルという、ちょっと大きなものの色を決めるので、面積のあるもので見比べた方がいいですね。小さな色見本帳で見た時と、実際のサイズで見た時とで、印象が変わることはよくあります。
今回は、たくさんの候補の中から何色かピックアップしますが、日常生活においても、「この色とこの色ならどっちにしよう?」と悩むシーンで覚えておきたいアドバイスです。
野口:今のバリエーションのカテゴリーは、“馴染ませる色”と“アクセント色”という形で分けていますが、その感覚って人それぞれですよね。risora custom styleのブラックのパネルを選ばれた方は、馴染ませるためではなく、アクセントとしてブラックを選ばれたとおっしゃっていました。
網村:周りにあるものによって、アクセントになるか馴染ませる色になるかは、変わりますからね。
吉川:それなら、“ワクワクする”など気持ちのレンジでカテゴリーを分けるのもいいですね。
長治:risoraだけを見て選んでいただくのではなく、そのrisoraがある部屋で、どんな気持ちでどんな風に過ごしたいか考えて選んでいただけたらと思いますね。なので“空間づくり”という視点で色や質感を選定するといいかもしれないです。
長治の提案には、一同も納得。議論はますます盛り上がります。
次に「大理石」「和紙」などリアルな質感が特徴で、建具やドア枠、扉、家具などの多様な形状、素材への施工が可能な、サンゲツ社製の粘着剤付化粧フィルム「リアテックシート」を使用したパネルについてもディスカッション。見本帳で実際の質感を確かめながら話し合います。
野口:和の空間にも合いそうだからか、チークは人気ですね。あと、個人的にゼブラウッドは残したいです。
網村:これからのインテリアは鮮やかなものが流行りそう。なのでリアテックも高彩度のものがいいかもしれないですね。今のバリエーションはキャラクターが立ったものが多いので、健康的で楽しそうな雰囲気のものや、大人テイストのものがいいかもしれません。
野口:ファブリック調のものも、表情があっていいですね。
サンゲツ社のカタログを全員で1ページずつ眺めます。
いよいよ新しい35種のバリエーション選定へ!
様々な意見が出そろったところで、見本帳や資料、カタログを見ながら、「どの色がいいかな?」「この質感は残したいね」と意見が飛び交います。最初は椅子に座っていたはずが、気がつくと全員立っているという白熱ぶりです。「どっちの色も捨てがたい…」と頭を悩ませながら、選定を進めていきます。
およそ3時間半にわたる検討会を経て、新たなバリエーションの候補が決定しました。
網村:最新のトレンドを意識しながらも、より“インテリアにフィットする”“インテリアも一緒に選びたくなる”色や質感が候補に挙がりましたね。「家にrisoraが来たから、このインテリアにした」、そんな風に選ばれると嬉しいですね。
野口:今回のバリエーションは、そのrisoraが空間にあることで“楽しくなる”だったり“リラックスできる”といった、感情的な部分にリーチできている気がします。
果たして最終的に選ばれた色や質感はどんなものなのでしょうか? 気になる「risora custom style」の新しいラインナップは、2020年6月ごろに皆さまにお知らせの予定です。ぜひご期待ください。
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