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ハウジング・マルチエアコン

ケース2 / 多世帯(親×子×孫)が暮らす家

第3回 エアコン設置工事
エアコン設置工事2×4住宅でもできた!配管を上手に隠したスッキリ施工。

施主:長田様邸(神奈川県)

空調工事30年のベテランも太鼓判のダイキンハウジングエアコン。2×4工法の家に、すっきり取り付ける方法とは?

左:床置形エアコンの設置準備を進める工事担当者

右:エアコンの設置位置を確認する河辺氏

長田様邸のリノベーションで施工を担当するのは株式会社アイディーエム様。完成図面を同社が形にし、要所要所を建築家河辺氏がチェックするという役割分担で工事が進みます。

エアコン設置工事を行うのは、この道30年のベテラン担当者。今まで手がけてきた無数の空調工事の中でも、ダイキンエアコンの設置例は非常に多いそうです。「ダイキンの住宅用エアコンの設置方法は、現場では標準ともいうべきもの。安心して工事ができますね」

長田様邸は2×4工法で建てられた家。軸組工法の家と違って、壁の中に配管を隠すことができません。そんな限られた条件のなか、「できるだけエアコンが目につかないように、すっきりと」という河辺氏のコンセプトはどのように実現されたのでしょうか?

■長田様邸のエアコン配置プラン

床置形

「壊せない」部分に配慮しつつベストな設置位置を探る!リノベーションならではの設計・施工。

最初に取り付けが行われたのはリビングの床置形エアコン。暖房時には足元から温風が吹き出すのでより暖かく感じられるのが特長です。タイプは床置形で最も大きい18畳用。河辺氏のデザインでは、南側からの光を北側の家事室まで取り込むため、リビングに扉を設けていませんが、そんな開放的な空間も、パワーに余裕のあるエアコンでしっかり空調しようというわけです。

設置場所は、リビングの壁面に作り付けられたキャビネットの中。「住む人ができるだけ機械を意識しなくてすむように」との河辺氏の考えから、使用しないときは扉を閉めてエアコンを隠せるようになっています。と同時に、冷房時にエアコン上部から吹き出す気流をさえぎらないよう、キャビネット上部が蝶番で開閉できる工夫が凝らされていました。

キャビネットの内部を見てみると、設置面が床より少し高くなっていますが、これは外壁の防水層と排水の事情から。防水層は壁の下から20cmほどですが、ここを壊すことはできないので、エアコンからのドレンホースを通す穴はこれより高い位置に開けることになります。さらに、自然に排水するには、より高い位置に室内機を置き、ホースに勾配をつける必要があります。

少し高めの設置面は、こうした機能をしっかり確保しつつ、見た目や快適性もかなえるためのデザイン。空調工事担当者も、そうした河辺氏の意図を理解しつつ、着実に工事を進めていきます。

開閉できるキャビネット上部

エアコンを使用しない時はキャビネットの扉を
閉めることができる

床より高い設置面と配管

床置形

既存の壁の内側にもう1枚壁を作り二重になった壁の間に配管を通してすっきり。

キャビネット内にすっきりと納まった床置形エアコン。

リビングの床置形エアコンの向かって右側にあるサッシは、もともとはベランダに面した掃出し窓でしたが、今回のリノベーションでは玄関になる開口部。サッシもフルオープンのタイプに変更し、エアコンの真裏の外壁に戸袋が作られました。そのため、配管口も室内機の真後ろではなく少し左側にありますが、設置が終わればキャビネットの中に隠れるので、室内からは見えません。

不思議なのは、同じ場所を外から見ると、壁の外に出ているのはドレンホースだけで室外機がないこと。かといって、どこか別の場所まで配管を引き回した様子も見えません。壁の中に配管を通すことのできないはずの2×4工法なのに、なぜなのでしょうか?

その秘密は、ベランダに面した壁の内側にもう1枚、新たに設置されていた壁にありました。新しいエアコンの配管は、既存の壁と新しい壁の間を通る形で西側へ。そして、以前からエアコンの配管に使われていた西側の穴から外に引き出されていたのです。その仕上がりは、言われなければ新たに壁が作られたことにも気づかないほど。

「外壁に手を加えれば、工事の時間も費用も余分にかかる。可能な限り既存の設備を活かしたい」というのが河辺氏の考え。西側に配管を通したことで、室外機は階段の影の目立たない場所に納まりました。玄関ポーチに生まれ変わった南側のベランダも、室外機を置く必要がなくなって広々。室内外ともに、余分なものが目に入らない仕上がりが実現したのです。

床置形

新たに作ったクローゼットの上部や天井裏の空間をエアコンの埋め込みスペースとして活用。

リビング以外では、ホールと寝室に壁埋込形エアコンを設置。これらについても、エアコンを埋め込むスペースが、全体のデザインの中にうまく設けられていました。

プレイルームとして活躍しそうなホールには、来客のコートなども掛けやすいオープンタイプのクローゼットが作られましたが、エアコンが設置されたのはその上の空間。まるでもとからあった壁の中に埋め込まれたようで、全く違和感がありません。

寝室のエアコンは、もともと天井が高くロフトのあった11畳の部屋を半分に区切り、新しくできたパウダールームの天井裏を利用して設置。配管は天井裏から直接ベランダに出したため、室内からは空気の吹き出し口以外目に入りません。

パウダールームには壁掛形のエアコンを取り付けることに。寒い冬でも着替えるのが苦にならないように、という河辺氏の配慮からです。こちらは壁面に作りつけられた可動棚の奥行きがエアコンの奥行きと合うように設計され、表面が揃うようになっています。さらに寝室のエアコンと室外機を共有するマルチエアコンにすることで、ベランダの室外機の設置スペースは1台分だけになりました。

一見リノベーションの難易度が高そうな2×4工法の家にも関わらず、本体はもちろん配管まで、ほとんど目につかない形に仕上がった長田邸のエアコン設置工事。次回はリノベーション完成後のハウジングエアコンご使用の感想を、施主の長田様にお聞きします。

新たに作ったクローゼットに壁埋込形エアコンを設置

寝室とパウダールームを区切る壁面に壁埋込形エアコンを設置