今回risoraオーナーとしてご登場していただくのは、建築家の茂木哲さんご一家。

ショールーム的な役割も果たしているという横浜市内の自邸は、奥様の奈々恵さんと2歳の蒼(あおい)くんとのライフスタイルの「今」を見つめ、最適な形にリノベーションした心地よい住まいです。気持ちよく風が通り抜け、室内と外が自然につながるご自宅の工夫について、お話を伺いました。

風の通り道を設計し、内と外が分断されない工夫を

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▲右側にダイニング&キッチン、左側には寝室、ワークスペース、リビングを配置。仕切りのないひと続きの空間となっている

茂木さん邸にお邪魔して、印象的なのは最初に目に入る窓。フレームのように景色を切り取り、庭まで風が気持ちよく通り抜けるのを感じられます。この住まいは、中古マンションを購入して茂木さん自身が設計し、リノベーションをしたもの。
結婚後、賃貸マンションでの夫婦二人暮らしを経て、2018年末に現在の住まいに移りました。きっかけは2歳の息子・蒼(あおい)くんが誕生し3人家族になったこと。

「子供が生まれることがわかり、自分で設計した住まいで子育てをしたいと考えたことがきっかけで、家探しを始めました。物件の決め手になったのは、築年数に比べ管理状態が良かったことと魅力的な庭があったことです」

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▲室内との段差が少なく、手すりなどの構造物がない庭があったのが、物件を決めた理由のひとつ。庭の奥に見える街路樹は、春には桜が見頃に

家探しをしていた当時は、別の建築設計事務所に勤めていた茂木さん。戸建て住宅を多く手掛けた経験から気持ちのいい庭のある住まいに惹かれ、自邸でも内と外が連続し、一体化している空間づくりを希望したと言います。

「単に“庭がある”というだけなら、ほかにも物件がありましたが、室内との段差が大きかったり、1階でも手すり付きのバルコニーがあったりと、内と外を分断させやすい要素があることがほとんどでした。この物件は室内と庭との距離が近く、道路とレベル差があることで歩行者と視線が合いにくく開放的な空間が作れると思ったので、購入を決めました」

リノベーションにあたって最初に決めたのは、北側から庭のある南側へと風が抜けるような空間づくりと、内と外のつなぎ方。
庭を望む開口部は、壁を下げてサッシ上部を見せない納まりに。窓廻りの要素を減らすことで景色に集中することができます。また窓が横長になるため、パノラマ写真のように庭への開放感が高まるそう。

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▲寝室とリビングの間にデスクを設置しワークスペースに。気分に合わせて、ベッドに腰掛けて外を眺めながら仕事をすることもある

内と外の連続性を意識した工夫として、「通常は室内にあるものを外に置いたり、外にあるものを中に置いたりすることで空間の連続性がつくれます」と茂木さん。

たとえばワークスペースに設置したデスクと同じ厚みの板をベンチとして庭にも使ったり、植物を室内に置いたりして空間全体の親和性が生まれると言います。

極力仕切りのない、ひと続きの空間づくり

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▲太い梁の存在感を軽減するため、梁よりも幅の広い板を設けた上に間接照明を設置。視線は導かれるように開口部に向けられる

茂木さん邸の大きな特徴は、全てのスペースがつながり、ひと続きの大空間として使えること。引き戸などで必要な時に区切ることはできるものの、日中は開け放していることが多いそう。

「この家は、子供が小さい間の“子育て期の住まい”として設計しました。その前提で考えると、閉じた個室は必要なく、むしろ部屋のどこにいてもすぐに家族の姿が見えるようにオープンな空間が理想です。そこで、極力ドアなどの建具や壁で区切らず、全てがつながる空間設計を行いました」

こうした間取りが可能になったのは、物件自体が長方形だったことも大きいと言います。

「長方形だと、対角に位置するスペース同士はそれなりに距離をとることができます。我が家は浴室にもドアはなく、物理的にはキッチンともつながっていますが、料理をしている真横でお風呂に入っているというわけではありません。心理的には適度な距離が保てていると思います」

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▲茂木さん邸の平面図および断面図。大まかなゾーニングは設計当時からほとんど変わっていないという。どこにいても家族の気配が感じられる空間。

北側に配置した“ドアのない浴室”は、茂木さん邸の特徴のひとつ。隣り合う和室スペースを脱衣所や湯上りスペースとして使い、時には窓からの眺望を楽しみながらゆっくりと湯船に浸かることもあるそう。

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▲北側に設けられた浴室。ガラス張りにする案もあったが、最終的には仕切りのないオープンな空間に。ひと続きの空間のため蒸気がこもることもない

「オープンな浴室は、設計事務所に勤務していた頃に何度も携わったことがありましたが、換気や防水については生活者の視点では分からないこともありました。自邸に設置したのはある意味“実証実験”です。実際に自分で使ってみることで自信をもってお客様に提案することができています」

浴室の対角に位置するキッチンは、壁付けにして広々としたダイニングスペースを実現。LIXILのシステムキッチンをベースに、水栓など一部には自ら選んだものを組み合わせています。

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▲白と明るい木目を基調にした明るいキッチン

「キッチンについては、各メーカーの商品を見るとこの10年ほどでとても進化した印象です。学生時代はプロダクトデザインを学び、家具やインテリアの設計にも携わっていたことがあるのでオーダーメイドキッチンも作ったことがありますが、既製品と充実した収納などと同等の性能を持たせようと思うと、予算を超えてしまうこともあります。
空間に合わせた既製品の選び方や組み合わせ方で、コストバランスをとりながら納得のいくキッチンを作ることも十分可能だと思います」

risoraは、使わないときも美しくたたずむ箱でいてくれる

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▲risoraを設置した壁やTVを掛けている壁は、リノベーション時に数センチふかし、配管を中に入れ込んですっきりさせた

建築設計を生業にしている茂木さんにとって、risoraは発売当初から注目していた家電だったそう。

「設計事務所に勤務していた時から、ダイキンのエアコンは多く扱っていました。中でもrisoraが発売されたときは一目見てそのデザインを気に入り、いつか自分の家を作ることになったとしたら、risora以外の選択肢はないなと思っていました。特に、角のエッジが立ちすぎていないアールがかかった室内機の 形状と、運転時に室内機の前面パネルが浮き上がるように動くところが気に入っています」

もともと家具やプロダクトのデザインを学び、空間設計に携わるプロである茂木さんのインテリア選びは実にシンプルで、「家具や家電が主張するのではなく、空間に自然になじむもの」が基準。空間構成と同様に白、グレー、ベージュを中心にものをセレクトしていると言います。

risoraも「空間になじむ」という視点で選ばれたもののひとつ。壁をふかす(仕上げ面を前面に出す施工)工事も実施し、隠蔽配管(壁の中に配管を通して隠す)にすることでよりすっきりと収まっています。

「risoraは、使わないときも美しい佇まいです。エアコンを稼働させるのは長くて夏場3ヶ月、冬場3ヶ月ほどではないでしょうか。残りの半年以上は、壁にかかっているだけの状態とも言えますが、それでも違和感なく空間になじんでいてほしい。risoraのデザインはそんな希望を満たしてくれていると思います」

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▲ダイニングに加えて、北側の和室から庭を眺めたときに見える壁にもrisoraを設置。パネルカラーはどちらも「ファブリックホワイト」

現在2台のrisoraを使用している茂木さん。機能面でも満足していると言います。

「エアコンに限らず、家電は機能がシンプルなものが一番だと思っています。シンプルなもの方が壊れにくく、メンテナンスもしやすいと考えているからです。エアコンにおいても、人感センサーでの温度調整やフィルターの自動掃除機能などはあれば便利でしょうが、なければ困るというほどのものでもありません。機能を詰め込もうとせず必要十分なものだけに潔く削り、実現したrisoraのデザインは素晴らしいと思っています」

現在手掛けている複数の物件でも、risoraをおすすめしてくれているそうで、「自宅ではホワイトでしたが、グレーやベージュ系の壁紙を選ぶこともあるので、より馴染む色のrisoraを合わせて提案したいです」と語ってくれました。

今後、蒼くんの成長や家族のライフスタイルの変化に合わせて住み替えも視野に入れているという茂木さん。理想の空間づくりはこれからも長く続いていくのでしょう。

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茂木 哲(もぎ さとし)
学生時代にプロダクトデザインを学び、卒業後はオーダー家具の設計職に従事。仕事をするうちに家具を設置する空間そのものへの興味が深まり、建築の道へ。建築設計事務所での勤務ののち、2021年に独立。住まう人の笑顔を包み込む、まるで家具のように手触り感のある空間づくりを手掛けている。

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