静止時には美しく見えるデザインも、運転するとパネルが開いたりすることで
その美しさが損なわれてしまうこともあります。
「risora」のこだわりは、運転中の見え方にまで及びました。
デザイン部門の中森はこう振り返ります。
「運転中に見える吹き出し口のデザインについては、機械的な要素が強調されないように
質感をもたせ、室内機の内側からやさしい風が吹いてくるイメージを意図しました。
パネルの動き方も、ただ空気が取り込めたらいいというのではなく、
美しさを損なわないように本体上部の天面にぴったりと合うように調整しています。
また、一般的なエアコンではあまり注目されない
リモコンの受光部についてもこだわりました。」
受光部に関しては、エアコン全体のデザインの邪魔にならないように、
通常は前面にある受光部を底部に配置するという難しい課題が設計の大下に出されました。
通常はリモコンの受光部はエアコン前面に配置されます。
前面にあることで、上下左右離れた場所からでもリモコンの信号が受信しやすくなるからです。
しかし、底部にしてしまうと、場所や角度によってはうまく受信ができません。
この難しい課題の答えは意外なところから生まれました。
大下はその時の出来事をこう話します。
「受光部を底部にするという課題への答えが出ず、
自分1人で考え込んでしまっている時期がありました。
そんな時にたまたまレーザーポインターの光をレンズに当てていた後輩の姿を見て、
光をL字に曲げて受信させる、というアイディアを思いつきました。試行錯誤を重ね、
最終的には受光部を下方向に4mm出し、
光を当て上方向に反射させることで底部でも問題なく受信できるようになりました。
試験がうまくいったときはうれしくて、
思わずメンバー全員に電話で報告してしまいましたね(笑)」
こうした発想の転換により、
受光部はあまり目に付かないエアコン底部に設置することが可能になりました。
さらに、受光部の面積を最小限に抑え、窓の素材も通常のものから
スモークがかったアクリル樹脂へと変更し、目立たない工夫が重ねられました。
ついに、パネルの質感やカラーからリモコンの受光部に至るまで、
ひとつひとつ全力でこだわりぬいたパーツが集まり、
ようやく「risora」の試作機が完成しました。
しかし、試作機が初めて動いた時も、さまざまな指摘が幾度となく入り、
そのたびに新たな課題をクリアするために何ヶ月も要しました。
ようやく「最終版」にたどり着いた時には、プロジェクトメンバー全員の心に
「やっとここまできた」という感慨とともに、ダイキンの歴史の新たな1ページを開く、
これまでにない革新的な製品を作り上げたという感動が涌き上がりました。
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