近年、カーボンニュートラル(脱炭素)実現に向けて、世界的にさまざまな取り組みが行なわれています。なかでも注目を集めているのが、発電時に温室効果ガス(二酸化炭素など)を排出しない再生可能エネルギーの普及です。
再生可能エネルギーの一つである太陽光発電は、日本の一般家庭においても普及が急速に進んでいますが、蓄電池と組み合わせて使うことでさまざまなメリットがあります。
この記事では、太陽光発電に蓄電池を追加することで得られるメリットをはじめ、デメリットとなる点も紹介します。
太陽光発電で作られる電気の量は、設置するソーラーパネルの発電容量によって異なります。太陽光の発電容量は、「システム容量」や「出力容量」などと表現されることもあり、数値はkW(キロワット)で表されます。数値が大きくなるほど多くの電力を作れることになりますが、住宅(ご家庭)に設置するソーラーパネルのシステム容量は10kW未満と決められており、10kW以上のものは産業用となります。
太陽光発電のメリットは、再生可能エネルギーであることや売電収入を得られることなどが挙げられます。ソーラーパネルから得た電気のうち、ご家庭で消費しきれなかった余剰電力は電力会社に売電できますが、このような電力の売電は、FIT制度(固定価格買取制度)によって成り立っています。
FIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る制度です。太陽光発電を設置してから10年間は、一定の価格で電気を売ることができます。
このような余剰売電は、もともと2009年の「余剰電力買取制度」から始まりました。しかし、2012年からは再生可能エネルギーの普及を促進する目的でFIT制度に移行し、電気事業者だけでなく一般家庭にも適用されています。売電価格については、太陽光発電を設置した年ごとに異なります。
電気を節約すればするほど余剰電力も増え、そのぶん売電できる量も多くなることから、この制度は、ご家庭での節電や省エネを促すものであるとも言えるでしょう。
太陽光発電の売電価格は年々低下傾向にあります。その理由は、売電単価は太陽光発電の設置費用を目安に算出されており、現在太陽光発電の技術の進歩や、市場の拡大により、設置金額が低下しているからです。
住宅用の売電価格と太陽光発電設置費用がどのように変化しているのか、2009年度から現在までの価格の推移をご覧ください。
年度
|
1kWhあたりの売電単価(10年間)
(システム容量10kW未満) |
住宅用太陽光発電設置費用(目安)の推移
|
---|---|---|
2009(平成21)年度
|
48円 | 50万円~60万円/kW |
2010年度
|
48円 | ↓ |
2011年度
|
42円 | |
2012年度
|
42円 | |
2013年度
|
38円 | |
2014年度
|
37円 | |
2015年度
|
33円 | 40万円前後/kW |
2016年度
|
31円 | ↓ |
2017年度
|
28円 | |
2018年度
|
26円 | |
2019年度
|
24円 | |
2020年度
|
21円 | |
2021年度
|
19円 | 25万円~30万円前後/kW |
2022年度
|
17円 | |
2023年度
|
16円 | |
2024年度
|
16円 |
経済産業省は当初、太陽光発電を日本に普及させるために、売電価格を「再生可能エネルギー賦課金」で賄うことで、高く設定していました。しかし、近年は太陽光発電の設備に関する技術が進歩したことや、日本での導入が拡大したことなどによって、以前に比べ、太陽光発電の売電価格は低下しつつあります。なお、価格の低下は今後も続くことが予想されています。
また、太陽光発電の設置から10年が経過してFIT制度の適用期間が終了すると(卒FIT)、固定価格での売電ができなくなります。卒FIT後は売電単価が大幅に下がるため、余剰電力を売電するよりも、自家消費するほうが経済的なメリットが出やすくなります。自家消費に切り替える際には、太陽光発電に蓄電池を追加すると、余剰電力の有効活用ができます。
太陽光発電の余剰電力を自家消費する方法として、ダイキンの「おひさまエコキュート」が挙げられます。おひさまエコキュートは太陽光発電の余剰電力を利用して、おもに昼間に沸き上げを行なう給湯機です。夜間にお湯を沸き上げる従来のタイプに比べると、沸き上げてから夜の入浴や洗い物に使うまでの時間が短くなるため、タンクに貯めたお湯の放熱ロスが少なくなります。
さらに、効率的にお湯を沸かして電気代を節約できることや環境にやさしいことなども、おひさまエコキュートの特徴です。
蓄電池とは、太陽光で発電した電気や電力会社から購入した電気を、一時的に貯められる装置のことです。太陽光発電システムでは、電気を作ることはできても蓄えておくことができず、蓄電池は電気を蓄えることができても作ることができません。しかし両方を組み合わせると、電気を無駄なく効率的に使えるようになるため、FIT制度終了後に余剰電気を自家消費に切り替える際に便利です。
蓄電池の導入を検討する際には、次に紹介するメリット・デメリットを参考にしてみてください。
蓄電池に貯めた余剰電気は発電ができない夜や早朝に使用できるため、購入する電力量が減り、電気代が安くなるでしょう。今後は、太陽光パネルと蓄電池をセットで使用しながら、光熱費を節約するご家庭が増えることが予想されます。
余剰電力を蓄電池に蓄えておくと災害時にも役立ちます。万が一、地震などの大規模な災害が発生して停電が起きた場合でも、蓄電池があれば、一定期間は電気を使用することが可能です。
蓄電池を導入する際には、初期費用として、蓄電システム本体価格と工事費用が必要になります。家庭用蓄電池1kWhあたりの価格は、蓄電池容量が大きくなるにつれて低減しますが、一方で工事費のほうは増加する傾向にあります。蓄電池の本体価格や工事費については次の表をご覧ください。
蓄電池容量
|
1kWhあたりの家庭用蓄電池の価格
|
容量別工事費
|
---|---|---|
5kWh未満 | 13.9万円 | 10.0万円 |
5〜10kWh未満 | 12.7万円 | 19.6万円 |
10kWh以上:10.3万円 | 10.3万円 | 26.7万円 |
太陽光発電に蓄電池をプラスすると多くの初期費用がかかりますが、将来的に見れば、電気料金の節約や停電時のバックアップとして利用できるなどのメリットもあります。また、家庭用蓄電池の導入には、国の補助金も利用できる場合もあります。
蓄電池は無限に使えるわけではなく、他のバッテリーと同様に寿命があります。蓄電池の寿命は「サイクル数」や「使用期間」といった表記がされますが、満タンな状態から使い切るまでがサイクル数、蓄電池の使用開始から寿命までの期間が使用期間です。蓄電池の寿命は、これらの要素によって種類ごとに異なるものの、一般的には10~15年程度が目安になります。
蓄電池にはいくつかの種類がありますが、選ぶ際には次のようなポイントを参考にしながら、ご家庭の状況やニーズに合ったものを選ぶようにしてください。
蓄電容量(蓄電池に蓄えられる電力量)は選ぶ際の重要なポイントです。容量はメーカーによって異なりますが、家族構成やご家庭での消費電力に合わせて、適切なサイズを選ぶことが大切です。例えば、ご家庭で消費する電力が少ない場合は小型の蓄電池を、消費電力が多い場合は大容量の蓄電池を選ぶとよいでしょう。
蓄電容量が大きくなるほど価格も上昇しますが、ご家庭で消費する電力に対して蓄電池のバッテリーが足りなければ、災害などの非常時には電池がすぐに切れてしまうことも考えられます。そのため、容量選びで迷ったら、少し余裕のあるものを選ぶほうがよいかもしれません。
蓄電池を設置するには、まず場所の確保が必要ですが、屋外に設置する場合は、気候条件の影響を受けやすくなることから、防水性や耐久性が高いものが適しています。屋内の設置であれば天候の影響を受けにくくはなりますが、設置スペースが限られます。また、配線や運転音などに問題がない場所を選ぶ必要があるでしょう。
蓄電池の保証期間はメーカーや製品ごとに異なるようです。一般的には10年や15年とされていますが、期間が過ぎれば修理費用は自己負担になるため、選ぶ際には保証期間や内容を確認することが大切です。
太陽光発電と蓄電池に加え、おひさまエコキュートを一緒に使うと、さらに電気代の節約効果が期待できます。
おひさまエコキュートは、太陽光発電を導入しているご家庭に適したエコキュートです。深夜電力を利用してお湯を沸かす従来のエコキュートとは異なり、太陽光発電の余剰電力を無駄なく利用して、おもに昼間にお湯を沸かします。夜間よりも外気温が高い昼間にお湯を沸かすため、ヒートポンプの効率も良くなり、給湯光熱費を節約できます。
また、ダイキンのおひさまエコキュートは、太陽光発電の発電量が下がる曇りや雨の日のような日でも、自家消費時間帯(9時~16時)に沸き上げを行ないます。自家消費時間帯は、リモコン設定から変更することも可能です。
おひさまエコキュートにご興味がある方はダイキンカスタマーセンター(購入相談窓口)までお気軽にお問い合わせください。
太陽光発電に蓄電池をプラスすると、作った電気を貯めておくことができるため、卒FIT後も余剰電気を有効に使えます。電気の蓄えがあれば非常時にも役立つでしょう。また、太陽光発電の余剰電力は、おひさまエコキュートで有効に使用する方法もあります。
太陽光発電と蓄電池を一緒に使うと大きなメリットがありますが、蓄電池の導入にはメリットだけでなくデメリットも存在するため、両方を把握したうえで、導入の検討を行なってください。
まずは無料でお問い合わせ
エアコン・住宅設備の選び方、ご購入から設置の流れなど、
ダイキンの専門スタッフまでお気軽にご相談ください。
修理のお申込み
修理に関するお問い合わせ